初代富山県知事の別邸「松桜閣」近江八景になぞらえた優美な庭

北陸新幹線「黒部宇奈月温泉駅」から徒歩5分、立派で優美な庭園があります。「松桜閣しょうおうかく」は、初代富山県知事の国重正文さんが建てた私邸です。

国重さんの自宅が火災に遭ってしまったことから、絡みのあった一帯の大地主が土地を貸してくれて建築したそうです。当初は整備されていませんでしたが、色々あって庭を約1年かけて作り上げ、丁寧に手入れをされて現在まで残されています。

松桜閣の拝観料と開館日

松桜閣入館300円

松桜閣の拝観料
入園のみ100円
松桜閣入館300円
お茶席希望(要予約)500円

数寄屋造りの松桜閣

松桜閣(右)と茶室(左)

中央にお茶用にくり抜ける小さな畳がある

茶室のある建物を数寄屋造りと呼びます。茶の道にハマっている人を「好き物」「数寄者」と呼んでいたことが由来といわれます(諸説あり)。

松桜閣の居間、中央にはお茶用の囲炉裏があり、小さな畳がくり抜かれています。

座った時の目線に庭の緑が入ってくる設計

庭園を見渡せる2階窓

部屋の中に庭園の景色を取り込めるような設計がされています。細い柱や低い天井が特徴的です。

曹洞宗天真寺、庭園内にあるお寺

国重正文の直筆の額

国重さんの直筆の額が奥の茶室に飾られています。よく見ると「自」「守」の文字下付近に墨の汚れがあります。

これは国重さんが酔っぱらって書いて筆を落とした跡です。一緒にいた地主は、書き直そうとする国重さんを制し、「これが良いんだ」と喜び、そのままここに飾ってしまいました。2人とも仲良しですね。

茶室

池の上に佇む茶室「枕流亭」は趣がある

こぢんまりとした内部。ここでどんな話をしていたのだろうか

近江八景を模倣した庭園

庭園は、琵琶湖を真似した池を中心に、近江八景を模して作られています。

①築山の五重塔は、石山寺の秋月の景をまねる
②御堂前の石橋は、瀬田の唐橋の欄干を取り入れる
③池辺の雪見灯篭は比良の暮雪を思わせる
④池は琵琶湖の形を取り入れて見ずは大滝、小滝として落とし、矢橋の帰帆を偲ばせる
⑤池の亭は、琵琶湖に浮かぶ堅田の浮御堂とした
⑥座敷前の傘形の松は唐崎の一つ松になぞらえている
⑦境内全般の赤松林は、粟津の松原を思わせる
⑧御堂の鐘は、三井寺の晩鐘とした

引用元:松桜閣パンフレット

園内には13の灯籠と特徴的な庭石

山灯籠

五重塔形

庭園内には13もの灯籠が点在しています。どれも特徴的で風流な姿をしており、見て回るのも楽しいです。

亀石

亀に似ていることから亀石と呼ばれます。甲羅部分は元々あったもの、手足と頭は後から付けられました。

象石(奥)と座禅石(手前)

園内にある天真寺の方が、この上に座って修行されたことから座禅石と呼ばれるそうです。

松桜閣の基本情報

  • 〒938-0802 富山県黒部市若栗2774
  • 076-532-4332
  • 営業
    • 10時00分~16時00分
    • 定休日は毎週水曜
    • 開館期間は、4月1日~11月30日まで(冬季休業)
  • 見学料
    • 入園のみ100円
    • 松桜閣入館300円
    • お茶席希望500円(要予約)

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