富山県の山奥、黒部峡谷には鉄道が敷かれています。元々は大正時代(1923年~)の黒部川電源開発のために使われていた鉄道に、安全対策を施し、一般観光客向けに開放したトロッコです。
冬季休業で5月頃~11月頃まで営業しています。特に紅葉のシーズンは、色とりどりに染まる黒部峡谷の紅葉を楽しめるとあって大人気のスポットです。
峡谷沿線には山宿が点在し、質の良い温泉が楽しめます。
目次
黒部峡谷鉄道トロッコ電車について
電源開発のために敷設されたトロッコでしたが、あまりにも黒部峡谷の美しい秘境に行きたがる観光客が多く、当初は「安全の保障はしない」との便乗証を発行させて、乗せてあげていたそうです。
そこまでして行きたい人が多く、また地元の方々の強い要望もあって、関西電力と黒部峡谷鉄道が協力してトロッコ運行を開始し、今の形になりました。
時刻表
概ね1時間に1本程度、宇奈月発は9時頃が始発・15時前に終電になります。帰りの欅平発は16時半頃が終電です。山間部なので、終電は早めの時刻になっています。
▼黒部峡谷鉄道 公式時刻表
https://www.kurotetu.co.jp/timetable/
チケット
黒部峡谷鉄道の乗車料金(片道) | |
---|---|
宇奈月駅→黒薙駅(25分) | 660円 |
宇奈月駅→鐘釣駅(60分) | 760円 |
宇奈月駅→欅平駅(85分) | 1980円 |
リラックス車両券 | +530円 |
トロッコに乗るためには乗車券が必要です。事前にウェブで予約もできますし(前日15時まで)、当日宇奈月駅の窓口で購入することも可能です。
当日に駅窓口で購入することもできますが、ハイシーズン(GW、9~10月紅葉時期)は、かなり混雑するのでウェブから事前購入しておくことをおすすめします。
▼黒部峡谷トロッコ電車予約ページ
https://www.kurotetu.co.jp/reservation/
座席
普通車両(左)には窓がついていません。気持ちの良い風を浴びながら、雄大な峡谷の景色を楽しめます。ただ、雨天時には雨がそのまま入るのでご注意ください。
また、冷える時期だとトンネル通過時に結構寒くなりますので、上着があると安心です。
リラックス車両(右)は窓があり、天気の悪い時はこちらがおすすめです。リラックス車両に乗るには、乗車料金に+一人530円かかります。座席の数量は限られているので、早めに購入しましょう。
特に、雨天時に団体ツアー客の行動と被ると、リラックス席が売り切れてしまう場合があります(途中駅から乗ってくるので席が先に確保されてしまっていることがある)。
他にも向かい合って座れる特別車両がありますが、こちらは主に団体客が利用しています。
室井滋さんの車内アナウンス
車内には富山県出身の女優・室井滋さんの観光案内アナウンスが流れます。見どころに差し掛かると、アナウンスで教えてくれるので、見逃さずに楽しむことができます。
室井滋さんは富山県の滑川・魚津あたりのご出身だそうです。
宇奈月駅
黒部峡谷鉄道宇奈月駅
運よく本日は晴天。トロッコ旅に出発です。
宇奈月駅の記念スタンプ
新山彦橋
新山彦橋(やまびこ遊歩道途中の山彦橋から撮影)
新山彦橋を通過中
宇奈月駅から望む真っ赤な橋は新山彦橋です。以前は隣にある山彦橋がトロッコの線路として利用されていましたが、そちらは補強の後、歩道用として開放されました。
トロッコ用には新しく橋が新設されたため、こちらが新山彦橋と呼ばれるようになりました。峡谷のはざまを流れる黒部川が綺麗です。
宇奈月ダム
湖面橋と宇奈月湖
真っ赤な湖面橋とエメラルドグリーンの宇奈月湖のコントラストが素敵な絶景です。大規模な排砂施設が特徴的な宇奈月ダムには、情報資料館も付属していて、こちらも人気です。
新柳河原発電所
新柳河原発電所
お城のような見た目の建物は、新柳河原発電所です。中世ヨーロッパの城をイメージしたデザインです。ここには柳橋駅がありますが、発電所作業関係者しか下車することはできません。
とちの湯と奥の滝
写真中央の建物が日帰り温泉施設「とちの湯」
宇奈月湖を通り過ぎると見えてくるのが、とちの湯と奥の滝です。とちの湯には、黒薙からの源泉が引かれています。
黒部峡谷・宇奈月湖・トロッコ・青空の雄大な自然の景色に囲まれながらの露天風呂を楽しめます。
サル橋
猿用のつり橋
お猿さんが行き来できるように作られた、猿用に吊り橋があります。
一応、猿に使われているみたいなのですが、トロッコからその様子を確認できることはめったにないです。見られたらラッキーです。
仏石
赤い布を被った仏石
トロッコから距離はあるものの、真っ赤な布が目立ってよく見えました。昔、黒部峡谷に入山する登山者たちが、ここで安全を祈願していたそうです。
黒薙駅
黒薙駅はトロッコで一般観光客が最初に下車可能な駅です。黒薙駅には山道を徒歩20分進んだところに「黒薙温泉旅館」があり、宿泊だけではなく、日帰り入浴も可能な施設があります。
後曳橋
後曳橋
後曳水路橋
黒薙駅には後曳橋が架かっています。60mもの高さがあって、谷が深く怖すぎて、後ずさりして引きさがってしまうことから「後曳橋」といわれます。
黒薙温泉
黒薙温泉
駅から徒歩20分かかり、アクセスは良くありませんが、まさに秘境の地にある温泉旅館です。
麓の宇奈月温泉街はすべて、ここ黒薙温泉の源泉を引湯しています。河原にある大露天風呂は混浴ですが、バスタオルや水着OKなので、ぜひ入ってみてください。
出し平ダム
出し平ダム・出し平発電所
排砂設備を日本で初めて備えたダムです。豪雨の時には、宇奈月ダムと連携して排砂を実施しています。出し平ダムには一般人が入ることはできません。
黒部峡谷鉄道トロッコは冬季休業します。そのため、冬の期間は黒部川上流のダムで働く関西電力の職員さんたちに、逓送さんと呼ばれる人が生鮮野菜を徒歩で届けています。出し平往復は、逓送さんの中でも1日の歩行距離が最も長くて大変なのだそうです。
黒部川第二発電所と猫又駅
黒部川第二発電所(左)と目黒橋(右)
猫又駅
猫又駅も一般観光客は降り立つことはできません。駅からすぐのコンクリートの塊のゾーンには「猫又合宿」という発電所作業員の方々のための宿舎があります。地盤の工事など、数十名の作業員が寝泊まりしていたことがあります。
緑あふれる峡谷の景色
鐘釣駅
鐘釣駅
鐘釣駅は観光客が下車でき、河原風呂などが楽しめるスポットです。洞窟風呂や、自分で河原を掘って温泉を湧かせることもできます。天然の露天風呂です。
スイッチバック
鐘釣駅に到着すると、いったん後ろに下がって切り替えるスイッチバックが行われます。
万年雪
万年雪
山に降った雪が雪崩となり、ここまで落ちてきて残ったものです。夏場でも溶けずに1年中残っていることから万年雪と呼ばれます。
小屋平ダム
小屋平ダム
こちらも下車はできず、トロッコからのみ見学可能なダムです。当初、980m上流に作られる予定でしたが、名勝である猿飛峡が水没してしまうことから、現在の場所に変更されました。
欅平駅
欅平駅
黒部峡谷鉄道の終着駅「欅平」です。終着駅といいつつ、実はこの先にも線路自体は伸びています。欅平駅から黒部第四発電所を経て黒部ダムへ通じる関西電力の輸送ルートがあります。
通常の観光ではこの先へは進めませんが、「黒部ルート見学会」に申し込みをして当選すれば、ツアーで楽しむことが出来ます。例年7~8月頃開催(申し込みは5~6月頃なので注意)されていて、非常に人気のツアーです。※黒部ルート見学会は2023年で公募終了。キャニオンルートとして2024年から一般開放されるため(詳細下記)。
黒部宇奈月キャニオンルート(2024年~)
今まで事前申し込みで当選するしか見学する方法はありませんでしたが、なんと2024年から「黒部宇奈月キャニオンルート」として黒部ダムまでの道のりが開放されることになりました。とっても楽しみ!
竪坑エレベーター、高熱隧道、仙人谷、インクライン、裏剱、黒部トンネル内バスを経て黒部ダムに到着します。黒部峡谷鉄道が、立山黒部アルペンルートに接続されることになったのです。
欅平駅の記念スタンプ
展望台からは渓谷の景色が存分に堪能できる
欅平駅を出てすぐの場所には展望スペースがあり、記念写真も撮れます。
欅平ビジターセンター
欅平ビジターセンター
中部山岳国立公園や黒部峡谷の自然について学べる施設です。
欅平ビジターセンターの記念スタンプ
国立公園スタンプラリーの電子スタンプもゲット
環境省が出している国立公園スタンプラリーのアプリで、欅平ビジターセンターはチェックポイントになっています。日本全国なので一生かかっても完成しない可能性ありますが…ちょこちょこ集めています。
▼国立公園スタンプラリー
https://www.env.go.jp/nature/mankitsu-project/stamp-rally/
猿飛山荘
猿飛山荘
単純硫黄泉は湯の花たっぷり
欅平駅から徒歩10分以内の場所には日帰り入浴も可能な猿飛山荘があります。軽食もいただけます。トタンの屋根に囲まれている野性的な露天風呂では、轟々と流れる黒部川を横目に祖母谷温泉から引湯した単純硫黄泉が楽しめます。
河原展望台と欅平園地足湯
河原展望台と奥鐘橋
欅平園地足湯
猿飛山荘から徒歩数分の場所に、河原展望台と奥鐘橋があります。そして、その景色を眺めながら楽しめる足湯も設置されています。足湯の温度は比較的高めなので、夏場は特に注意です。足湯協力金200円です。
15時には閉まってしまうので、お早目に向かいましょう。
猿飛峡
特別名勝・特別天然記念物に指定されている「猿飛峡」は、ぜひ行っておきたいスポットです。しかし、今回は運が悪く猿飛峡までの道が通行止めで向かうことができませんでした(落石のため通行止めになっている)。
お猿さんが飛び越えられるほどの狭い川幅なので「猿飛峡」といわれます。緑の中を流れるグリーンの水面と自然の景色が素敵で、人気の場所です。
奥鐘橋
奥鐘橋
谷に架かる巨大な真っ赤な橋が奥鐘橋です。少々怖いですが、景色は抜群です。勇気を出して渡ってみましょう。
人喰い岩
人喰い岩
奥鐘橋を渡ると崖からせり出すように岩が出ている山道があります。人を飲み込むように見えることから「人喰い岩」と呼ばれます。
名剣温泉
名剣温泉
露天風呂
欅平駅から徒歩20分程度の場所にある「名剣温泉」では、峡谷の景色を眺めながら入る露天風呂が人気です。地鉄で宇奈月温泉駅へきて、トロッコで1時間半の山奥を突き進み、さらに20分山道を歩かないと辿り着けない名剣温泉はまさに秘境です。
お料理も美味しく宿泊もおすすめですが、日帰り入浴も可能です。
雄大な自然を堪能でき、しかも泉質最高の温泉もある黒部峡谷へ旅してみませんか。