歴史街道を自分の足で【東海道五十三次】街道歩き旅①日本橋~品川宿

日本国道路元標(複製)

「東海道」は、江戸・日本橋を拠点に作られた五街道の内のひとつ。江戸時代に徳川家康によって整備されました。東海道は日本橋から京都・三条大橋まで、全長492kmの道のりがあります。江戸時代の人々は、東海道五十三次を約2週間ほどで歩いていた(約35km/日)といわれています。

現在、歴史に触れる為・健康の為などなど、様々な理由で街道歩きを楽しむ方々が増えています。ご当地グルメや名物をいただきながら、歩くからこそ出会える景色を堪能できます。宿場ごとに区切り、何年かかけて街道を歩き切ることを老後の楽しみにされている方も多いのだとか。

今回は、東海道五十三次の起点である日本橋から、1番目の宿場「品川宿」まで行ってきました。

五街道って何?東海道は初心者向きってホント?

品川宿の街歩きマップ看板

天下を取った徳川家康が、盤石な経済基盤を作るために通信や物流の整備に取り掛かり、最初に着手したのが「東海道」でした。

次いで「中山道」「甲州街道」「日光街道」「奥州街道」が整備され、これらは「五街道」として、江戸・日本橋を起点にした交通網の発展に寄与してきました。

街道の途中には、江戸と各領地を行き来する大名や旅人に宿を提供する「宿場」が設けられて、本陣や脇本陣、旅籠や旅館が連なり、やがて宿場町として栄えていきました。

五街道の中でも、東海道は街道歩き初心者にぴったりです。一部、難所もありますが(箱根峠・鈴鹿峠・薩埵峠など)基本的には平地の距離が長く、全体を通して山道も短いので初心者向けです。

東海道五十三次の起点「日本橋」

歌川広重「東海道五十三次」日本橋

東海道五十三次のスタート地点は「日本橋」です。江戸時代から、五街道の起点として発展してきましたが、現在でも7本の国道の起点(国道1号・4号・6号・14号・15号・17号・20号)となっている交通の要所です。

日本橋

今現在架かっている橋は、明治44年に架けられたものです。初めて日本橋が架けられたのは1603年でしたが、老朽化や戦災で代替わりし、現在の橋は20代目のものです。

橋名板に書かれた「日本橋」の文字は、15代将軍・徳川慶喜が書いたものです。

当時、東京市長だった尾崎行雄が、江戸幕府の負けを認めて無血開城を決断した徳川慶喜公に対する敬意を表し、字を書いてもらうことを依頼しています。

国道の起点を表す「日本国道路元標」

日本国道路元標(複製)

日本橋の橋のたもとには「日本国道路元標」があります。五街道の起点、現代では国道の起点となる場所です。こちらは複製のレプリカです。

本物は日本橋の道路のド真ん中にあります。車の通りが激しくて危ないので、直接見に行くことは控えましょう。

道路の中央にある四角いものが本物

日本橋魚河岸跡は浮世絵に登場している場所

日本橋魚河岸跡

現代では新鮮な魚市場といえば、築地市場(現在は豊洲市場)が有名ですが、関東大震災以前は日本橋の北岸に沿った一帯に魚市場があり、当時は江戸随一の繁華街が広がっていました。

魚河岸で富を築いた有力商人は、学者や文化人のスポンサーとなっており、有名な松尾芭蕉の経済的スポンサー(杉山杉風)も、魚河岸の魚問屋・鯉屋で商売を成功させた豪商でした。魚市場での商売が、日本の文学の発展を支えていたことが分かります。

歌川広重の浮世絵の左手前には、魚を持っている人々がいます。ちょうどこの魚河岸跡の場所で、販売する魚介類を運搬している場面が描かれています。

歌川広重は晩年、日本橋で暮らしていた

歌川広重といえば浮世絵が有名で、中でも「東海道五十三次」が最も有名な作品です。東海道の宿駅ごとに、景色や人々の様子を浮世絵にしてまとめたものです。当時、お伊勢参りが庶民の中で流行り、旅行ブームも起きていたことも相まって爆発的に売れた作品です。

歌川広重は、晩年の10年間を日本橋(中央区京橋一丁目九番地)で過ごしていました。住居自体は無くなってしまいましたが、跡地には歌川広重の居住跡を示す看板が残っています。

歌川広重は「東路へ筆をのこして旅の空 西のみ国の名ところを見ん」と辞世の句を残しています。(意訳:まだ全然描き足りないので、しんでから西のみ国(=あの世)の名所を見てまわりたいと思う)。最後まで旅人を貫いた、素敵な一句でした。

常盤橋と渋沢栄一像(新1万円札)

常盤橋門跡
常盤橋

常盤橋公園から日本銀行に向かって架かる「常盤橋」は貴重な石造りの橋で、江戸城の外郭の正門だった場所です。城門は明治時代に撤去されてしまいましたが、石垣の保存状態が良好だったこともあり、国指定史跡となっています。

出典:早稲田大学図書館

非常にモダンな石橋で、明治時代を象徴する素敵なデザインが目を引きます。歌川広重も、常盤橋を浮世絵に描いています(「古今東京名所」)。

常盤橋公園内の渋沢栄一像

常盤橋公園には、渋沢栄一の銅像があります。関東大震災で甚大な被害を受けた一帯の復旧に尽力した功績を称え、建立されました。

関東のお伊勢さん「芝大神宮」

芝大神宮

芝大神宮は伊勢神宮の分霊(天照大御神・豊受大御神)を祀った神社で、「関東のお伊勢さん」として庶民の信仰を集めました。

歌舞伎の演目としても有名な「め組の喧嘩」の舞台となった場所でもあります。境内には「め組」が奉納したとされる狛犬があります。

西郷隆盛と勝海舟が会談して無血開城を決めた場所

江戸城無血開城会談の地

田町の蔵屋敷で、薩摩藩の西郷隆盛と幕府陸軍総裁の勝海舟が会談をし、江戸を無血開城することが決定されました。田町駅近くには、無血開城の会談が行われた場所を示す石碑が残っています。歴史的な無血開城ということもあり、相当な根回しが行われていたようで、関係者らの努力が垣間見えます。

最終会談が行われたのは1868年(慶応4年)3月14日、江戸城総攻撃の前日のことでした。他にも、高輪にある薩摩屋敷で、事前に予備的な会談が行われていたといわれています。

元和キリシタン遺跡

階段の上に遺跡の碑がある

1623年(元和げんな9年)に、三代将軍・徳川家光が50名のキリシタンを処刑した場所です。15年後にも再びキリシタンを大量に処刑したといわれています。処刑場があった場所の石垣の一部が残っており、そこに石碑が設けられています。

遠藤周作の「札の辻」では、この場所が舞台になっています。

忠臣、播州の赤穂浪士が眠る「泉岳寺」

泉岳寺

泉岳寺は曹洞宗のお寺で、播州の赤穂あこう藩主・浅野長矩ながのりとその忠臣ら赤穂浪士47名が眠っています。境内には「赤穂浪士記念館」もあるので、余裕があれば足を運んでみましょう。

赤穂事件
1701年江戸城にて、浅野長矩は遺恨があった吉良上野介を討つため斬りつけたものの、失敗。当時、江戸城の中では朝廷の使者を接待している最中だったようで、場所やタイミングをわきまえずに刀を振った浅野長矩に5代将軍・綱吉が激怒し、幕府により即日切腹を命じられました。浅野家は、播州赤穂の領地を幕府に没収されたが、吉良には一切お咎めがありませんでした。

これに反発した浅野長矩の忠臣・赤穂浪士らは結託し、吉良邸に侵入して仇討ちとして、吉良上野介を討ち取りました。これに参加したのが赤穂浪士の47名でした。内1名は途中で行方不明となったが、残りの46名は仇討ちを幕府に報告し、全員切腹しました。

泉岳寺では、忠義を尽くした赤穂浪士を弔うための「赤穂義士祭」が毎年4月上旬と12月14日に行われています。

東海道の最初の宿場!品川宿に到着

歌川広重「東海道五十三次」品川宿

ようやく東海道五十三次の最初の宿場に到着です。江戸四宿と呼ばれ、江戸の玄関口として人・モノ・文化が集まる場所として発展しました。

歌川広重の浮世絵では、品川宿の入り口付近を通過する大名行列の最後尾が描かれています。

写真を撮り忘れたので後日掲載させていただきますが、品川宿の本陣跡は聖蹟公園の中にあります。

お疲れさまでした。スタート地点の日本橋からは約10kmの距離でした。街道歩きが初めての方にはちょうど良い長さかと思います。ちょっと頑張ればゴールできるくらいの長さなので、ご興味ある方は日本橋~品川宿間から始めてみてはいかがでしょうか。

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